ビジネスプロデューサー協会会報誌『BPA JAPAN』第8号(2012年9月28日発行)に掲載された記事です。

システムフォワード大内一也氏が独自のECサイトにこだわり続ける理由は、過去、実際に自分の犯した失敗と悔しさを知っているからです。だからこそ、これを他者に生かしてもらいたい!という強い思いをおもちです。大内氏のお父様は福島唯一のカニ漁を手掛けていました。
福島ではカニ漁船大徳丸が海から帰ると、その新鮮なカニを生きたまま食べられます。他の地方でも、この美味しいカニを食べてもらいたいと、1998年から、大徳丸のカニを大手のモールに出店し始めました。


「モールとECサイトの大きな違い」

それは、集客力とネット店舗制作の自由度、顧客名簿の管理です。モールを百貨店にたとえると、入店するお客様の数は、もちろん多く、別の商品を買うついでに、自分の商品を買ってもらえるということもあります。広告をかければ売り上げも上がる一方、大量な在庫や広告費をもっていない店舗は、出店する費用と売上のバランスで悩むことになります。
ECサイトは、自分で、出店する店舗の場所から、店のつくり、広告のかけ方など、すべて自分の裁量で行うことのできる自由なお店です。しかし、百貨店と違って、独自の店では、まず、お客さまに知ってもらうことから始めなければならないので、売上は徐々にしか上がりません。

「企業の資産!顧客名簿」
大内氏は、モールでカニを販売しながら、「今の時間はモール内全品30%オフ!」というモールのやり方や、いくら自分の商品を買っていただいても、顧客名簿はモールにあるために、どんなお客様が、どれだけ買ってくれているのか・・・といった、商売において大切な財産になる顧客名簿を手にすることもできませんでした。
いざ、モールから独自ECサイトに移ったとしても、それまでのお得意様をすべて持っていくことはできません。また、タイムセールや、無料セールなど、モールのルールに従った方法に従わねばなりません。大内氏も、モールに出店していた時、それまでは月額の出店料であったのに、モールからの突然のルール改正で、急遽、毎月の売上から課金されることになりました。それが、きっかけとなってモールをやめることになりました。
メーカーと下請けの構造が、こうしたインターネットのモールの中にもあると、大内氏は言います。こうしたビジネスの下請けから脱却しなければ、必死に命をかけて生み出す生産者は幸福になれない!と憤りを言葉にします。モール側が一方的にルールを変えた場合、出店者側はそれに従うしかありませんし、従えない場合はやめる選択しかありません。常に下請け間で価格の競争を強いられ続けられます。大内氏は、生産者のためのサイトを作り続けることで、生産者を下請け業者にしないと言われます。強烈なコピーやキャンペーン、安売りで生産者を疲弊させたくないと言われます。

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「生産者の立場でシステム作りを」
自身が生産者であったからこその願いです。お客様に買ってもらうのではなく、お客様から買いたいと思ってもらうためには、オンリーワンの商品をもつこと、ストーリーを作ることが大事です。ECサイトは、インターネット上で商品を販売するWebサイトのことを言います。つまり、ホームページをもたれている方は、法人でも個人でも、簡単にECサイトに進化することができるのです。
インターネットで何かを販売することに壁を感じている方は、大変に多くいらっしゃるでしょう。しかし、大内氏は、インターネットを使ったECサイトでは、どんなものでも商品になり得ると言います。そこに価値を創り上げることができれば・・・。

「ネットもリアル店舗と同じ」
それは、町の商店街と同じかもしれません。スーパーや大型複合施設が作られ、お客様の足は、そこに向かってしまう。ただ、その中でも、生き残っていくショップはお客様との個のおつきあいを大切にします。お客様が見やすい、動きやすい商品配置や、お客様との会話の中で相手に合ったものをみつけておすすめしたりしながら、信頼関係を作ります。お客様を大切にすることが、自分の店を愛してもらうことになるのです。
100円ショップならば、ダイソーでも、セリアでも、キャンドゥでも、100円ローソンでも、シルクでも、100円で商品があれば何でもいいのです。自分のネットショップを、そうした大量の在庫で勝負するサイトに育てたい方は、もちろん、そうした方法が有効だと思います。
ただ、自らが手間暇かけて、精魂込めて生み出した商品を販売する時に、出来れば大切に、喜んで買っていただきたいと思うでしょう。お子さんのおられる方は、大切に育てた子どもは、いつか、その子を、親と同じように大切にしてくれる人と巡り合ってもらいたいと願うでしょう。ECサイトもまさしく同じ気持ちです。

「ストーリーのあるECサイトを」
大内氏は、カニを販売する時にも、ただ、美味しいカニを販売するのではなく、「年頃の娘たちに尊敬されるお父さん」を演じることができるストーリーと共にカニを販売しました。カニ刺しやカニしゃぶのつくり方のビデオで、家にある料理道具で、プロのような手際よさでカニを食べられるような調理方法を映し、「お父さんって、カニ料理の天才!」と娘たちに褒めてもらい、父子の会話が生まれるというストーリーで、普通の家庭では、年に1,2回しか食べないカニ料理を、毎月ご購入いただいて食べてもらう家族像を作り上げました。
インターネットのビジネスでも、リアルなビジネスでも、そこには、お客様の日常を楽しく快適にするために、新しいストーリーを生み出す力が求められます。

[nextpage title=”母性あるECサイト”]

「独自ECサイトが可能にする本当の顧客視点のビジネス」というタイトルは、新しい物語を生み出す母性というテーマに相応しく、また、自社の利益を優先するのではなく、お客様の目でお客様が求めるものをみつけだす母の目が必要なのだということを教えてくださいました。
大内氏は、多くの方が、かつての自分のように、モールの中での競争のビジネスではなく、お客様との対話のできるようなECサイトが増えていけば、無味乾燥なネットショッピングにも、あたたかな気持ちが生まれるのではないかと、講座を開講いたしました。講座で話すだけで終わらせるのではなく、そこから、個々に対応のできるシステムも準備しています。なぜならば、独自ECサイトは、自分だけのお店だから。誰かと同じということはない、大切な子どものようなショップだからです。私も、母性に満ちた大内氏のお話を楽しみにしている一人でもあります。

インターネットでショッピングサイトを公開していても、なかなか売上につながらないとお悩みの方は数多くおられます。なかには、コンサルの方に広告やSEO対策といった提案をされ、さらに、お金をかけたけれど全く売上にはつながらないと嘆かれる方もおられます。そうした機能や機械に頼ることは、本当の顧客視点をもっているビジネスとはいえません。
いくら良い参考書を読んでも、成績が上がるわけではないように、自分の現状をしっかりと分析した上で、弱みを知り、自分のもつ商品に他とは異なる商品価値を創り出すためのストーリーを生み出すことができなければ、自分自身が一生、誰かの顧客であり続けるしかないのです。

大内氏は、システムフォワードという会社は、システムをご利用になられるお客様に「ありがとう」と言っていただくらめに、お客様の顧客が、お客様に対して「ありがとう」と言ってもらえるようなサイトの構築ができるお仕事をされておられます。
大内氏は「売上が上がってこそ、お客様は喜ばれるし、笑顔になられる。そうすれば、その笑顔は次々につながっていく!」と断言されます。
「ご当地ドットコム」や「幸せの貯金通帳」など、大内氏の「ありがとう」は次々とつながっております。それも顔の見えない「ありがとう」ではなく、目をみて言える「ありがとう」の言葉が…。(小幡万里子)

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